学校の怪談・トイレの花子さん

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深夜の学校

凰陣です。子供の頃は霊感が研ぎ澄まされていて、いろいろなモノが視えているといいます。それが大人になるにつれ、様々な煩悩のフィルターに包まれ、仕事や人間関係に疲れ果て、ただの凡人になってしまうのは世の常です。そんな大人の霊体験は貴重なものに思えますが、何も分からない純粋な子供の霊体験もまた面白いものがあります。今日は私が子供の頃に体験した、そうした話しを綴ってみましょう。

学校の怪談の中に、「トイレの花子さん」という有名なモノがあります。バリエーションは様々です。よく語られているのは、

「誰もいない筈の個室トイレの内側からノックが返って来る」

「返事が返って来る」

といったタイプで、まぁ、この手の怪異譚ではレギュラーですよね。単純ですが子供を脅かすには充分な、大変よく出来た話に思えます。て、しらっと書いていますが、実は小学校4年生の時に実体験しているのです……

私が当時通っていた小学校は、その当時で創立100年という歴史のある学校で、その木造校舎は、クラスごとに校舎が分割されていて、それぞれを本校舎部分が繋いでいる造りでした。各学年に13クラスもあるマンモス校で、建物の階段を下りるとすぐにトイレがある構造でした。ある日の事です。4年生がいる階の女子トイレの中で、騒ぎが発生しました。児童の誰かが、

「個室をノックしたら、誰もいないのに音が返ってきた」

と言いだしたのです。

小学生って、こんな話しを聞くと好奇心の塊になるでしょう。当然、授業の間の休憩時間中、問題のトイレに大勢の児童が集まりました。もちろん男女ごちゃまぜで、問題の「音の返る個室」をみんなで取り囲んでいます。もはやここで普通に用を足す事が無理なほど大勢の児童が詰めかけており、男子児童も構わず女子トイレの中に入っていました。

なぜこんなに大勢の児童が集まったのかと言いますと、どうもその「音が返ってきた」というのが、ほんのついさっき、つまり、授業を間に1つはさんだ休憩時間に発生したからです。事態発生から50分ほどしか経っていない、新品ホヤホヤの話しです。こういう事なので、その話に興味のある奴も、そんな話を信じない奴も集まってきます。

そこで、実際に個室をノックしてみようという事になりました。今となっては確認のしようもありませんが、この狭いトイレに30人以上は集まっていたと思います。トイレに入りきれずに、外から様子を窺う奴もいます。それぞれが様々な憶測を語り合っているので相当うるさく、これでは仮にノックの音が聞こえたとしても、分からないのではないのか?と思うくらいです。

それと同じ事を考えた奴らがまたそれを話題にするので、益々うるさくなっています。そんな環境の中で、個室のドアの傍にいた児童がドアを開け、中に誰もいない事を確認しました。そして、ドアをノックしました。しかし、当然というか、周りがうるさくてあんまりそれがよく分かりません。

なぁ、今、音したか?
ううん、聞こえへんよ?

……みたいな会話であふれています。どうもうまくいかなかったようで、もう1度ノックしました。でも、1回目から不発……というか、予想通りノックらしい音は何も聞こえてきません。もちろん、2回目のノックにも応答はなく、さすがに全員が、

気のせいやったんやで?
誰かのイタズラやって
な〜んや、うそつき

といった声が漏れてきます。休憩時間が終わりかけていた事もあって、皆トイレから出ようと踵を返そうとしました。

その時……。これだけ大勢がいるのに、たまたまほんの一瞬、全員の会話が途切れて静寂が訪れました。いわゆる「天使が通った」と言われている、アレです。その瞬間……、

ドン、ドン!

その場にいたほぼ全員が、音を聞きました。すでに誰も、トイレの傍に立っていません。そうです、トイレの中でドアをノックできる位置に誰もいないのです。問題のドアの向こう側から2回、強めに叩く音が、確かに聞こえました……

4年生の校舎内に、悲鳴が響きわたりました。全員が「嘘だと思っていた音」を聞いたのです。集団パニックになった児童たちは、大声を出して校舎内を駆け巡り、次の授業の準備をしていた先生の静止も無視して大騒ぎになりました。の後、お約束の後日談が語られるようになり、校内各所で

ここには○○が出る

という類の話が聞かれるようになりました。あれから40年以上経ちますが、いまだにあのノックの音は謎です。古い木造校舎ですから、誰かがどこかを叩いていたずらしたのかも知れません。でも私にはあのノックの音が、妙に実体感のない、どこで鳴っているのか分からない音に思えて仕方がないのです。

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ABOUTこの記事をかいた人

37年前に某霊場にて個人得度を受けました。 それ以来、仏道のみならず神道をもこよなく愛し、八百万の神様たちと日々過ごしながら、不思議な話を綴っています。